臓器移植Q&A

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免疫抑制薬

免疫抑制薬とはどのようなものですか?

拒絶反応のコントロールが移植には必須ですが、その治療法を免疫抑制療法といい、さまざまな種類の免疫抑制薬を組み合わせて行います。免疫抑制療法を中止すれば移植腎は拒絶され、機能しなくなってしまいます。
免疫抑制薬には、ステロイド(プレドニゾロンなど)、カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン、タクロリムス)、代謝拮抗薬(ミコフェノール酸モフェチル、ミゾリビンなど)、mTOR阻害薬(エベロリムスなど)や抗体医薬品といわれる薬があり、拒絶反応を起こす機構のそれぞれ別の箇所を阻害して、拒絶反応が起こらないようにします。
1つの免疫抑制薬だけを使うのではなく何種類かを組み合わせ、その時に必要な量を投与していく方法がとられます。免疫抑制薬の量を調節する為に採血して薬の血液中の濃度を測り、投与量を決める方法もとられています。

残念ながら免疫抑制薬には副作用があり、移植腎にとってあまり良くない副作用を持っている物がほとんどです。この副作用の中には移植腎に対して直接的に悪影響を及ぼすものや、免疫抑制薬の為に高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高くなる)、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、貧血などを引き起こし、間接的に移植腎の機能低下につながるものもあります。現在も全世界で新しい免疫抑制薬が開発中であり、将来的にはもっと優れた免疫抑制療法が開発されると期待されています。移植で使用する薬に関する書籍(「腎移植とくすり」など)を参照してください。

執筆:米田 龍生・石井 大輔

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