臓器移植Q&A

膵臓膵臓

移植対象者

膵臓移植はどのような患者に行うのですか?

膵臓移植の対象疾患(適応)は、糖尿病専門医の治療によってもなお、血糖コントロールが困難である1型糖尿病の患者さんです。
糖尿病性腎症のため腎不全となり、人工透析を行っている、または近々人工透析が必要とされている患者さんには、膵臓と共に腎臓も同時に移植します。

脳死下の膵臓移植の対象は、以下に示した適応基準に該当する患者さんであり、かつ該当患者さんが居住する地域の適応検討委員会において、臨床経過および臨床検査データなどをもとに十分に検討し、“適応あり”と判断された場合です。

<膵臓移植の適応基準>

  • 対象:
    • 腎不全に陥った糖尿病患者であること
      腎臓移植の適応があり、かつ内因性インスリン分泌が著しく低下しており、移植の十分な効能を得る上では膵腎両臓器の移植が望ましいもの。
      腎臓移植を受けていてもよいし(腎移植後膵臓移植:PAK)、腎臓移植と同時に膵臓移植を受けるものでもよい(膵・腎同時移植:SPK)。
    • IDDM(1型糖尿病)患者で、糖尿病学会専門医によるインスリンを用いたあらゆる治療手段によっても血糖値が不安定で、代謝コントロールが極めて困難な状態が長期にわたり持続している
      →膵臓単独移植(PTA)を考慮する。
  • 年齢:
    原則として60才以下が望ましい
  • 合併症または併存症による制限:
    • 糖尿病性網膜症で進行が予測される場合は、眼科的対策を優先する。
    • 活動性の感染症、活動性の肝機能障害、活動性の消化性潰瘍。
    • 悪性腫瘍:
      原則として、悪性腫瘍の治療終了後5年を経過し、この間に再発の兆候がなく、根治していると判断される場合は禁忌としない。しかし、その予後については腫瘍の種類・病理組織型・病期によって異なるため、治療終了後5年未満の場合であっても、腫瘍担当の主治医の意見を受けて、移植の適応が考慮される。
    • その他:
      膵臓移植地域適応検討委員会が移植治療に不適当と判断したものも対象としない。

執筆:穴澤 貴行・伊藤 泰平

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