2020.03.06

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の移植医療における基本指針について

日本移植学会会員 各位

感染拡大の収束傾向が見られないCOVID-19から、移植患者と移植に関わる医療者を守るために、日本移植学会でCOVID-19対策委員会を立ち上げました。

湯沢 賢治委員長のもと感染症専門家の方々にご参加いただき、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の移植医療における基本指針」を作成致しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の移植医療における基本指針

議論の中で感染症専門家諸氏から、ドナーおよびドナーとなる可能性のある患者が治療を受けている施設、その施設の医療者の濃厚接触状況と感染症対策の体制、さらには施設医療圏の感染状況が、COVID-19の感染症リスクを評価するためには重要である、という貴重な意見を頂戴しました。

以上のご意見を基に、脳死下・心停止後ドナーとなる可能性のある患者のCOVID-19スクリーニングシートの作成を目指し努力致しました。しかし、スクリーニングシートに記載した情報の重要性は十分認識できるものの、情報収集の実務上の運用とその評価方法に関して明確な基準を示すことが困難であるとのご意見がありました。検討を重ねた結果、今回作成したスクリーニングシートを用いることは、
現時点では現場の混乱を引き起こすことになると判断致しました。

ここに、スクリーニングシートの公表を一旦延期し、簡潔な診療基本指針を第一報として公表することに致します。今後、COVID-19がさらに拡大することになれば、移植施設とドナー候補者の患者を診療している施設の区別なく、院内のCOVID-19発生状況や医療者の曝露、医療圏の感染状況などの情報収集が公的業務となり、公表されることになると予測されます。

感染がさらに拡大した折には、遅滞なく、移植医療を安心して実施する判断基準となる「脳死下・心停止後臓器提供の可能性のある患者におけるCOVID-19スクリーニングシート」を皆さまにお届けできるよう、
COVID-19対策委員会に継続してご尽力いただいております。

一般社団法人 日本移植学会
理事長 江川 裕人

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