臓器移植Q&A

心肺同時移植心肺同時移植

移植後の食事、生活

日常生活では、どのようなことに注意すればよいですか?

心肺同時移植を受けると、心機能や呼吸機能が戻るので、生活は一変します。合併症がなければ、社会復帰したり、活動範囲が増加したりして、生活の質(QOL; Quality of Life)が向上します。さまざまな運動ができるようになりますが、移植した心臓には神経がつながっていません(除神経といいます)ので、急に走り出したりするのは避けてください。運動する前には、必ず準備運動をして脈拍を早くするようにしましょう。

しかし、免疫抑制薬を飲まないと、頂いた臓器を自分の免疫担当細胞や抗体が攻撃して傷めてしまいます(拒絶反応といいます)。そのため、一部の臓器移植を除いて、移植を受けた患者さんは一生免疫抑制薬を飲まなくてはいけません。

また、免疫抑制薬を飲むと、病原体(細菌、カビ(真菌)、ウイルスなど)からの防御機能が低下するので、感染症にかかり易くなります。そのため、いろいろな日常生活の制限が必要ですので、待機中にしっかりと勉強しておくようにしましょう。移植後守らなければいけないことがたくさんあって大変なことも多いと思いますが、臓器を提供していただいたドナーを想えば、その臓器を大切にできるでしょう。

心肺同時移植後の外来や定期検査はどのようなものがありますか?

手術後6カ月目までは拒絶反応や感染症にかかりやすいため検査も頻回に行います。心臓と肺は別々に拒絶反応が起きますので、拒絶反応の診断のための心筋生検と気管支鏡肺生検の両方が必要です。心筋生検は、移植後1カ月までは毎週、3カ月までは2週間毎、半年までは毎月、その後年に1~2回行います。一方、気管支鏡肺生検は、施設により異なりますが、6カ月までは毎月、その後年に1回行います。
遠方の患者さんの場合、6カ月間は移植施設の近くに住んでいただきます。
外来のたびに血液検査、心電図を行います。適宜、胸部レントゲン検査、呼吸機能検査、心臓超音波検査を行います。
ご自宅でも簡易型呼吸機能検査の機器やパルスオキシメーター(酸素飽和度を測る機器)を使い、肺機能のチェックを行います。
6カ月目の検査で問題が無ければ遠方の方は地元へ帰っていただけます。また、その頃、社会復帰も可能になります。

執筆:福嶌 教偉・大石 久

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