臓器移植Q&A

膵臓膵臓

膵島移植とは

膵島とは何ですか?

膵臓は、アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素を分泌する外分泌細胞と、インスリンやグルカゴンを分泌して血糖調節を行う内分泌細胞との2種類の異なる細胞群(組織)からできています。この血糖調節を行う内分泌組織を「膵島」といって直径が約 0.1〜0.3 mm の球状の塊で、膵外分泌組織の中に点々と散らばっています。膵臓の中には 成人1人あたり約 100 万個の膵島があり、膵臓を構成する組織の約1%程度といわれています。膵島のうち、血糖を上昇させる働きがあるグルカゴンを分泌するのがα細胞、血糖を低下させるホルモンであるインスリンを分泌するのがβ細胞です。
移植の適応となる1型糖尿病はこの膵島が自己免疫疾患によって破壊され、血糖を調整する細胞が十分な働きができず、血糖が不安定になる病気です。

膵島移植とはどのようなものですか?

膵島移植とは、移植を必要とする糖尿病患者さんが必要な血糖調整を行う膵島という組織のみを膵臓から分離、それを肝臓の血管(門脈)から点滴で移植するものです。
膵臓移植のように手術を必要とせず、合併症も比較的少ないため、移植を受ける患者さんには負担の少ない治療です。インスリン注射が必要とならないようになるためには、多くの場合2~3回の移植が必要ですが、1回目の移植後から血糖は安定し、特に重症低血糖発作が減ることが期待されます。膵臓移植と同様に拒絶反応の可能性があるため、必ず免疫抑制薬の内服は必要です。
膵島移植は2020年度から保険適用されましたが、保険医療として行うためには移植実施施設のそれぞれが、一定の条件を満たすことが求められているため、詳細は各施設にお問い合わせください。

執筆:穴澤 貴行・伊藤 泰平

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