臓器移植Q&A

肺

生体ドナー

生体肺ドナーについて教えてください。

生体肺移植は、「健康な人にメスを入れる」という本来の医療外の行為を伴います。臓器提供は報償を目的とするものや、他から強制されるものであってはなりません。あくまでもドナーご本人の自発的な「自由意思」にもとづくものです。そのためドナーはレシピエントの血族または配偶者であること、となっています。

ドナー手術にもリスクや合併症が伴います。また、ドナーは臓器提供手術後、肺活量が15〜20%低下します。一度切除した肺が元通りに大きくなることはありませんので、肺活量は生涯にわたって低下したままになります。これは日常生活に支障を及ぼすものではありませんが、ドナーになる方の十分な理解と同意が必要です。

ドナーの条件の主なものは以下の通りです。また実際ドナーとなるためには、血液検査やX線(レントゲン)検査などのさまざまな検査による確認が必要です。(ドナーの条件は各施設によって多少異なりますので、詳細は各施設にお問い合わせください。)

<生体ドナーの適応基準>

  • 年齢20歳以上、55歳以下が望ましい(年齢制限の基準は施設によって異なりますので、移植施設にお問い合わせください)
  • 現在、精神的にも肉体的にも健康であること
  • レシピエントと血液型が一致または適合すること など
レシピエントの血液型 ドナーになりうる血液型
A型 A型、O型
B型 B型、O型
O型 O型
AB型 A型、B型、O型、AB型

現在のところ、日本では、肺移植登録者数に対し、脳死ドナーが極端に少ないため、脳死ドナーを待つ間に亡くなってしまう患者さんが少なくありません。
また、レシピエントの病状が悪く、日本臓器移植ネットワークに登録するまで待てない場合もあります。このような状況で自発的な「自由意思」に基づく生体ドナーがおられる場合に限り、生体肺移植が検討されます。

執筆:大石 久・岡田 克典

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