臓器移植Q&A

肝臓肝臓

生体ドナー

臓器を提供した後、健康に問題はないのでしょうか?

生体肝移植の場合、部分的に肝臓を提供します。提供した後、肝臓は再生し、容積の上では提供前とほぼ同等になります(形は元に戻りません)。また、機能も容積の回復に伴い回復します。健康に問題のある方は生体ドナーとはならないので、手術はより安全に行うことが可能と考えてよいでしょう。
ただ、全身麻酔手術一般のリスク、思いがけない合併症の発生、手術による傷や、その傷に伴う不快感は、程度の差こそあれ一生残ります。実際に頻度は極めて小さいですが、生体ドナーの死亡例の報告もあります。日本肝移植研究会は、過去に全国の生体ドナー経験者に対しアンケート調査を行い詳細な結果を公表しています。興味のある方はご参照ください。

日本肝移植研究会・ドナー調査委員会「生体肝移植ドナーに関する調査 報告書」より

血縁でなくても臓器を提供できるのでしょうか?

血縁でなくとも、配偶者等の近しい方は提供できます。ただし、腎移植同様、肝移植でも基本的にドナーは移植学会の倫理指針(成人で、親族6親等以内、姻族(配偶者の親族)3親等以内)を逸脱することは許容されないと理解されており、施設によってはさらに厳しい基準(3親等以内、血族ないしは配偶者迄、姻族は認めない等)を設けているところもあります。移植を考えている施設のホームページなどで詳細に紹介されていますのでご確認ください。

生体ドナーとなれる親族の範囲(レシピエントとの関係の一例)

持病があってもドナーになれるのでしょうか?

原則、認められません。軽度の生活習慣病(高血圧、糖尿病)等であっても、全身麻酔下の肝臓の切除にともなう合併症のリスクを増大させるといわれています。がんや難治性の感染症の治療の既往がある場合は、治療の内容や経過期間によりますので、移植施設を受診の上、確認していただくことが必要です。

ドナーになるには年齢制限があるのでしょうか?

未成年は認められません。また、医学的な見地から60歳台半ば程度を上限としている施設がほとんどです。移植を考えている施設にお問い合わせの上、確認ください。

執筆:赤松 延久・田村 純人

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