臓器移植Q&A

腎臓腎臓

生体ドナー

臓器を提供した後、健康に問題はないのでしょうか?

残念ながら、腎機能は半分近くになるため、全く問題がないわけではありません。しかし、問題がある方はドナーとはならないので、実際には何も検査を受けていない一般の方より生存率(生き延びる確率)が良いという調査結果が出ています。しかし、検査を受けて健康であることがわかっている方(生体ドナーではなく、腎臓が2つとも機能している方)に比べると、生体腎ドナーのその後の死亡率や腎不全に陥る確率は有意に高いことが報告されており、注意が必要です。ほとんどすべてのドナーの方はその後の健康に問題がないのが現実ですが、中には蛋白尿の出現や血圧上昇などが起こることもあり、きちんと(年に1回ぐらい)受診してフォローアップをしてもらうことが必要です。また、生体腎ドナーも普通の方と同じくがんが発生することもありますので、定期的ながん検診も重要です。腎移植のためのドナーの手術はやはり大きな手術であり、危険性が全くないわけではありませんが、十分な注意を払って行われるので、普通の手術より危険性はむしろ少ないとの報告があります。

血縁でなくても臓器を提供できるのでしょうか?

基本的には生体腎移植のドナーは日本移植学会の倫理指針により、成人で、親族6親等以内、姻族(配偶者の親族)3親等以内となっています。しかし、そのほかの方でも、移植施設の倫理委員会と日本移植学会の倫理委員会が認めれば、血縁でなくても臓器提供はできます。ただしその場合に金品の授受があってはならず、それがあると法律で罰せられます。生体腎移植のドナーの場合、自らの自由意思での提供である必要があります。

生体ドナーとなれる親族の範囲(レシピエントとの関係の一例)

持病があってもドナーになれるのでしょうか?

持病の種類と程度によります。腎移植ドナーになることにより、持病がドナーの生命あるいは今後の生活の質を脅かすようではドナーとしては不適格となります。感染症や悪性腫瘍はドナーとしては不適格ですし、高血圧や糖尿病もほとんどの場合はドナーにはなれないことが多いです。

ドナーになるには年齢制限があるのでしょうか?

特に年齢制限はありませんが、腎臓の機能は年齢と共に下がるので、あまり高齢な方はドナーとしては不適格です。移植学会の指針も70歳以下の腎機能の良い方が望ましいとしていますが、腎機能を調べてみて、他の持病もない場合には、70歳以上でもドナーとなる場合があります。
ただし、ドナーの年齢が高い場合は移植腎の生着率が低く、生着年数も短くなることがほとんどですし、ドナー手術の危険性も高齢の方のほうが高いので注意が必要です。また、あまり若い腎臓を高齢の方に移植しても、あるいは高齢の方の腎臓を若い人に移植しても成績があまり良くなく、ある程度年齢を一致させて腎移植を行ったほうが良いことが知られています。

執筆:米田 龍生・石井 大輔

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